体の錬金術?
今回は体の錬金術のお話し。
と言っても金の体に作り変えるわけではなくて(^^;)以下の広義の意味での錬金術です。
概要
一般によく知られた錬金術とは、物質をより完全な存在に変える賢者の石を創る技術のことをいう。
この賢者の石を用いれば、卑金属を金などの貴金属に変える事ができるという。
しかし本来は、一般の物質を「完全な」物質に変化・精錬しようとする技術のことであり、さらには人間の霊魂をも「完全な」霊魂に変性しようという意味を持つこともあった。
つまり、古代~中世ではよくある「不老不死」の研究の一種である。
母親の子宮の中で羊水に守られながら生命を育む私たち人間の命は、水から誕生したと生物と言えます。実際に人間の体の50~70%は水でできています。(胎児は90%)
そしてその水分の約3分の2は細胞内に存在し、残りの3分の1は細胞と細胞の間に存在する細胞間液と血液にあり、それぞれ生命維持のために働いています。
体の状態が自身の中から変わることを、
体の状態の変移、変化は体液(脳脊髄液)の中から起こります。その一つの変化が連続的に順番に現れシステムの構成力となって機能します。
この変移が起こるとき、これまでの脳脊髄液の潮流リズムがいったん静止します。
静止から「より完全な存在に錬成する試み」として渦巻くような力が起こり、最初は生体電気的な場として現れ、この基盤の周りに体液、細胞、組織が明確に形成されていきます。
静止より 動きは生じ
動きより 力は生じ
力より 結合が生じ 結合は
形 成さしめ
それを保たん
(図と文は「クラニオセイクラル・バイオダイナミクスVOL.1」より
「静止」というはじまり。
どんな時でも自然治癒力はいつも働いている。
「命の息吹」という受精の時から働く生命の力は、細胞に中心線をつくり、脳脊髄液の潮流を起こしながら息を引き取るまで共にあります。
たとえ何らかの理由で体のある場所で停滞パターンが起こり、それが全体へのひずみを招いたとしても、この生命の力=「命の息吹」はずっと私たちとともにあります。
体はあらゆる構造と機能が見事な仕組みで働いて、一つにつながって出来上がっています。私には立体的で有機的な織物のイメージが浮かびます。
いわゆる病気とはいろいろなストレスへの防御反応が結果的に作り出す停滞パターンです。
織物の生地がどこかでつれると他の生地も引っ張られてゆがむように、どこかで生まれた停滞パターンは体のあらゆるところに影響を与えます。
「命の息吹」が送る健康な情報信号が停滞パターンによって歪められてしまうと、細胞膜は混乱し自らを守るためにゲートを閉じてしまいます。
この反応は機能を低下させ、新たな歪みを生みます。
クラニオ・ワークがどんな施術をするかというと、患者さんが生命の息吹と再び同調する手助けをします。
もっと正確に言うと、
患者さん自身の中に「静止」が起きる場面に立ち会うと言った方がいいかもしれません。
「静止」はひずみを鎮める変化が始まる前に起こります。
「静止」は空間を広げ、時間をゆっくりにし、固くなった停滞の動きを自由にさせる力を生み出します。
「静止」から回復のための呼吸リズムがはじまり、停滞していた妨害パターンを静めていきます。
再び流れ出した潮流は健康な情報を正確な信号として細胞膜に伝えます。
そして細胞膜は細胞に栄養素の取入れ、老廃物の排出、ホルモンや神経伝達物質の分泌、細胞の位置や形状の変更などを指示します。
こうして、停滞し、崩壊や病気を起こしていた細胞は、健康を取り戻しいきます。
「静止」はクラニオ・ワークではとても大事なポイントです。
静止は全てを生み出す土台です。
「静止」の状態から脳脊髄液の潮流に変移が起き、それはさらなる変移を生みながら生きた設計図として、細胞、組織の一つ一つの中に順番に現れます。
私たち施術者は、患者さんの持つ生命それ自体の現れをひたすら傾聴することなのです。
命の息吹と脳脊髄液の潮流
卵子と精子が受精し細胞分裂しながら人間の体に向かって行く力は何だろうか。
オステオパシーDr.サザーランドは頭蓋骨と脊椎、仙骨のリズミカルな動きから、脳脊髄液の潮流を生み出す力を発見し、それは肉体化の意思の力(”ポーテンシー”)であると考えました。
そして、その力を生み出す高い知性を「命の息吹」と呼びました。
命の息吹の現れである力(”ポーテンシー”)が細胞や組織の世界を形成し、その統合を保っていると考えます。
その意思の力は胚の中の中心線として現れ、原始線条と脊索となりやがて脊椎や頭蓋底が形成されます。
Dr.サザーランドは脳脊髄液の中に働く力”ポーテンシー”を液光(liquid light)と呼びました。
最近のロシアの科学者たちが脳脊髄液の中に光子の高い集中があるのを発見しています。
Dr.サザーランドは脳脊髄液を「命の息吹」の最初の受け取り手とみなし、脳脊髄液の自然な潮流が力強くなることで自然治癒力が働くと考えました。
オステオパシーのクラニオ・ワークではこの脳脊髄液の潮流を感じ、「命の息吹」とつながります。
患者さんがクラニオ・ワークで「命の息吹」とつながった体験を語った言葉が「スティルネス」という本にあり、とても印象的です。
「私は決して彼女の愛から分かたれたことはないし、彼女が私を1人にするなんてあり得ないことがわかりました。私を分離させていたのは、私の分かたれているという思いだったと、今わかりました。」
「全身が命といっしょに浮かんでいるのを感じます。私は私自身であり、改めて命の意味がわかりました。」
(「スティルネス」Chrles Ridley 高澤 昌宏・訳)
停滞パターン(病気)とは?
停滞パターン(病気)とは何なのでしょうか?
停滞パターンを作り出すものは・・・
身体はその不都合な影響を切り離すために設けられた、防御的反射で反応します。
この反応は生命と体とのやり取りの基盤を収縮させるため、命の流れが妨げられ、細胞膜に停滞が生じ、結果、体に機能障害を作り出すことになります。
本来は防衛から生まれた停滞パターンなのですが、皮肉なことに、それを維持するために自分の活力となるエネルギーが奪われ、病気の症状が現れます。そして停滞パターンが処理されないと、この負のスパイラルは際限なく続くのです。
クラニアル・ワークではどのようにこの停滞パターンを解決するのでしょうか?
第1次呼吸という、受精の時からの体を作った命の息吹の響きが、停滞した流れを自由にして癒します。
「健康は決して失われない」というクラニアル・コンセプト
「健康は決して失われない」
このクラニアル・コンセプトの原理を知った時には衝撃を受けました。
しかし、同時にとても腑に落ちたというか、「この言葉を待っていた」という感じがしました。
本文を紹介すると
「・・・クラニアル・コンセプトでは、健康は決して失われないように見える。健康とは原理であって特定の心身の状態には依存しない。最も絶望的な健康状態にあってさえ、その固有の原理は決して失われることはない。(中略)この健康は受精の瞬間から死ぬ日まで私たちとともにある。」「クラニオセイクラル・バイオダイナミクスVOL.1」より
”受精の瞬間から死ぬ日まで私たちとともにある”という健康の原理は、「自己治癒力」とも言えます。
身体は自己を正常化し、バランスのとれた状態を維持するために何をすべきかを知っているというのです。
オステオパシーはこの自然治癒力にアクセスするサポートをします。
施術者として私自身が、この最も本質的な治癒の原理と直接つながりを持てることが何よりも重要だと感じています。
治癒の中心には「静止(Stillness)」があるといいます。
「静まりて己を知るべし」(Be still and know me)
まだまだ続く”己を知る”と言う勉強と日々の生活の中での気づきを整理する意味で「アンジャリ日記」を始めました。
立ち寄っていただき、何かを感じて共有できたらとてもうれしいです。